僕は現代のギターにも素晴らしいものが沢山あることを知っているつもりです。
しかしそれとは又別の魅力が"Vintage Guitar"にはあると思うのです。
僕がギターを始めたころには、"Vintage Guitar"と言う言葉はまだ無く、"old guitar"または単に"old"と呼ばれていました。
この頃は所謂バースト・レスポール以外は単なる中古品扱いで、特にフェンダーギターはネックとボディーを自由に組み合わせることが出来るため、プレミアは絶対につかないと言われていたのを覚えています。
その後、有名ギタリストの使用などで"old"のフェンダーギターも徐々に認知されるようになり、いつの間にかワインの当たり年を評した"Vintage"と言う言葉がギターにも使われるようになりました。
つまり単に古いギターではなく、当たり年に作られたギターと言うのが、本来の趣旨なのだと思います。
当初、Fenderの場合、1964年以降(CBS傘下)のギターは"Vintage"と認められていませんでしたが、徐々に"Vintage"と呼ばれる年代は広がっていきます。
ストラトを例にとれば、スパロゴまで⇒1965年まではスモールヘッドだからOK⇒次にモダンロゴになる前の1967年まで⇒ネックジョイントが4点止めの1971年まで⇒スリングガイドが1本の1972年まで⇒ピックアップがスタガードタイプの1974年までと徐々に定義が広く(甘く?)なっていき、ついには現行の経営体制になる1985年以前も"Vintage"に含める人まで出てくるようになりました。
これは多分に商業的な理由が大きいと思われますが、個人的には言葉の本来の意味から真に"Vintage"と評すべきは、やはり1964~1966年前後までだと思っています。
ただ、フェンダーの場合、ネックやボディー、ハードウエア類の生産日が異なることは珍しい事では無く、また1966年頃までは工場もCBS以前に近い体制で稼働していたと言われていますから明確にこの年の何月までという区切りは付けにくいですね。
さて、面白いことに、ストラトだけではなく、Fenderの他モデルや、GibsonやGretchなど他のメーカーのギターも、概ね同時期のものが評価が高い傾向にあり、個人的にも全く同感であります。
また、各社のエレクトリックギターは、1960年代広範~1979年にかけても、申し合わせたように同じ方向にシフトした様に思います。
生産の合理化、機械化が進み、設計も大量生産に適したものに改められ、大量に調達された杢材も重いのもが増えてきます。
こうしたギターは大抵の場合、生音が小さく、ストレートにアンプに通すとドンシャリの傾向があるのですが、ペダル等で深めに歪ませた場合は、腰があって(やや暴力的にも思える)魅力的な音がします。
音楽的流行の変化を受けて意図した部分もあると思うのですが、経済の論理が強くギター制作に影響与えた始めた時期でもあります。
僕がギターを弾き始めた頃は、この時代のギターが全盛期だったこともあり、こういった音も結構好きなのですが、"Vintage Guitar"としては格下に語られることが多い様ですね。
当たり年のギターと言う意味では確かのそうかもしれませんが、楽器としての良し悪しとはまた別の話ですから、少し残念ではあります。
少々纏まりのない文章になってしまい、恐縮ですが、最後に個人的に感じる"Vintage"の魅力について。
・サウンド
やはり一番の魅力はコレですね。
現行のギターのサウンドがダメと言っているわけではありません。
ただ、理想とするプレイヤーと同じ音を出したければ、同じ機材を使うのが一番の近道だと思うのです。
・経年変化
あるとは思いますが、個人的には"Vintage"の本質的な魅力ではないと考えています。
だって"Vintage"と呼ばれるギターは、新品の時から素晴らしい音なのですから。
・希少価値
楽器としての本来の価値とは関係がない話ですが、希少的なモノを欲する気持ちは多かれ少なかれ誰にでもあるのではないでしょうか。
特に今後、"Vintage"は減ることはあっても、決して増える事はない訳ですから。
・価格
個人的には全く賛同できませんが、ある程度のプライス・タグがついていなければ価値を認めない人は存在するようです。
ただ、彼らに真の価値が理解できなくとも、高価であれば大事にされる可能性が高くなり、結果より後世に残される個体が増えるというのは良い事かもしれません。
・時代的考証など
"Vintage Guitar"が生まれた時代、使用したプレイヤー、メーカーなど、バックグラウンドなどに思いを馳せてみるのも結構楽しい事です。
やはり楽器としての本来の価値ではありませんがw
思いつくことを挙げてみましたが、これ以外にも色々魅力はあるだろうと思います。
そして同じ位欠点もあると思いますが、ここではあえて触れませんw
実際、僕も自分の手に取ってみるまでは、なんて怪しい世界だと思っていたのですが。
いや、実際に怪しい世界なのですがw
それでは、"Vintage Guitar"に興味はあるけど、二の足を踏んでいる貴方、、、、、
貴方の肩をそっと押すことが出来れば、嬉しい限りデス☆
↧
ヴィンテージ・ギター雑感
↧